この時を、


              この道を、


              この、世界を。



              心に刻んで、忘れぬ様にと。


              お前との思い出を、記録を、……生きた、証を。



              刻み込んで、永遠に忘れぬ様にと










      <砕け散る、ダークルビー>








              ぽちゃん。




              ぽた、ぽたっ…………








               涙の音かしら?





              雫の落ちた音かしら?







              いいえ。





              あれは、血が落ちた音なのよ。


              鈍く、艶やかに赤く染まった、命の欠片なの……



               この手いっぱいに、その欠片を集めてみましょうか?





































              ――――ガガッ!!




              「……止めろ、アレン……」



              「…………」
              アレンは、何も言わない。
              ただ、ぼうっと赤く光る瞳が、彼……ランスを、捉えている。



              「まだ……正気に戻らないのか……?」
              ランスは、ふっと笑う。
              これから、死に、確かに直面していると分かっているのに。
               逃げる事もせず、命ごいする事もせず。


               ただ、アレンの前に、動くのを止めた。
               手に握っていた剣さえも、カランと落とす。
              まるで、その姿は斬ってくれ、とでも言っているかの様に、静かに……





              次第に雪が降り始め、二人を寒い風が襲う



               雪は二人の鎧を白く染め、地面を染め………
               二人の間で動くものは、その雪のみだった




              「アレン………」



              アレンの、赤い瞳が目の前に見えるまで。
               その、光を映さぬままの、濁りのあった目に、引き込まれてゆくまで。


              静かに、目を開けていた。




               「―――死、ね」


               「………」
               アレンの手が、槍を振るう。


               何度も隣で見てきた、その力強い槍術。
               何度も助けられて、何度も助けてきて。
              いつも何処かで頼っていた、そのお前の力。




               ――そうだね……お前になら……



              殺されても、文句はないよ……アレン。














               遠くで  泣き叫ぶ  声がした

























              「ああああああああ!!!」




















               ………ぽたっ。




               …………ぽたた。







              「ア……レン……?」


              「ラン…ス」





              気が付けば、ランスの体に槍は刺さってはいなくて。
               変わりに、アレンの腕を貫いて、そこで止まっていた



              「アレン、お前……」


              「俺……ごめん、本当に……ごめ……ん」
             アレンは下を向いたままだった


              泣いているんだ、とすぐに理解した




              「いいんだよ……俺は、お前なら……」
              それが本当の気持ち。
              俺の……自身の、“真実”なんだ。






             「……アレン、好きだよ……」


              「………」









              初めての、キス。



             優しい、くすぐったい、その温もりは。
             温かくて、いつまでも口付けていたかった――…






              雪が降っていて


              変わりの温かさが伝わってきて


             そっと目を閉じたら



             君自身の温もりがあった。









             「ランス……俺、お前を愛する………資格が…ある、かな……?」




             「何を………馬鹿な事を」
             ランスは、ふっと笑う。



             「ダイスキだよ………アレン」









             耳元で囁かれた言葉は、今までのどんな日よりも、炎よりも、温かかった。









             End





                  暗い話になってしまいましたが……某様のサイトがそろそろ5000HITするらしいので、お祝いにと。
                  相互の方の御礼も承っているのですが、此方を先に……(ォィ

                  これはアレンがバサークにかかった状況…でしょう、恐らく。
                  アレランはシリアスでもかなりイケます(何が



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